1.生前対策の基本①

●「争族」が起きないように遺産分割対策を行うことが大切です。

●相続税がかかりそうな場合は、納税資金対策節税対策をしましょう。

資産家でなくでも、遺産争いが起きる可能性があります。

遺産争いが起こる可能性

 「遺産争いなんて資産家だけのもの」と思われる方も多いかもしれません。しかし、相続財産の多少にかかわらずトラブルは起きます。そして、仲のよい家族でも残念ながら争いが起きる可能性があります。


 一番トラブルになりやすいのは、主な相続財産が被相続人の自宅だけであり、相続人が複数いるケースです。自宅を売却し、売却代金を法定相続分通りに分けられればよいのですが、実際には配偶者や特定の相続人家族がその家に住んでいるケースもあり、そう簡単に売却できないことが多いです。


 さらに、相続人の1人だけが多額の贈与を受けている、または別の相続人が介護を一手に引き受けていたなどの場合、話はよりまとまりにくくなります。場合によっては、裁判所で争う事態も起こります。


 こうした家族間の争いを避けるためには、事前に対策を講じておくことが大切です。その手段の一つが遺言です。遺言で、各相続人の事情を考慮した遺産の分け方を指定することで、未然にトラブルを防ぐことができます(①遺産分割対策)。

3つの相続対策

 資産が多く、相続税を払う必要がありそうなら、相続税対策も必要となります。

 相続税対策は、まず納税資金を捻出できるかどうかを確認します。相続税は、相続発生から10か月以内に現金一括で納めるのが原則です。期限までに納めるのが難しい場合には、生命保険などで納税資金を確保する、延納や物納を検討するなど、早めの準備が必要です(②納税資金対策)。

 また、納税資金で困らないためには、相続税をいかに抑えられるかも重要です具体的には、「小規模宅地等の特例」などの相続税の特例を利用したり、生前贈与をうまく活用したりする方法があります(③節税対策)。

 このように、相続対策は大きく分けて、①遺産分割対策、②納税資金対策、③節税対策の3つがあります。相続対策といいますと、③の節税対策の事だけを考えがちです。節税よりも大事なことは、残された家族が争わないように遺産分割対策(争族対策)を最優先に考えることです。その上で、確実に納税できるように準備し、無理のない範囲で節税対策を行われますことをおすすめします。

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