2.生前対策の基本②

●相続は親の今後の生活プランの延長線上にあります。

●相続は親子で一緒に考えるのが理想的です。

単刀直入な質問は控えましょう。

今後の生活プランを家族全員で

 過去の生活状態などから、子どもは親の財産をある程度予測しています。そのため、親が亡くなったときに、思っていたよりもお金が残っていない、財産の全体像が把握できない場合、「ほかの兄弟が財産を使ったのでは?」、「誰かが財産を隠しているのでは?」と疑心暗鬼になることがあります。

 

 このような事態によって、家族同士が争う「争族」が起こることを避け、残された家族が財産をスムーズに引き継ぐためには、生前対策は家族全員で行うのが理想的です。

 

 まず行うことは、財産リストの作成です。同時に、親の今後のマネープランを立てます。現在ある財産のすべてが家族に受け継がれるわけではありません。生活費や娯楽費、医療費などで親の財産は減っていくのが普通です。「今後の生活にいくらかかるのか」を試算した上で、残りを誰にどれくらい残すか考えます。

 

 その他、介護が必要になったらどうするのか、いずれ子どもと同居するのか、もしくは老人ホームに入るのか、自宅は誰が継ぐのかなどetc。そのような今後の生活プランを考えることも、相続対策を行う上では大切です。また、そうした思いを家族に伝え、考えを共有しておくとよいでしょう。

さりげないアプローチを

 相続の話は、子どもから切り出しにくいものがあります。「テレビで見たけど、相続トラブルって多いらしいね」などど、さりげなく話題を出し、相続の話ができる雰囲気を作ることをおすすめします。あるいは、「この家古くなったけどリフォームする?」など自宅をテーマにして話を切り出すのも理想的です。


 不動産は、遺産分割の際にもめやすい財産です。また、その額も大きいため、相続税に及ぼす影響も大きいです。親の今後の住まいは、相続税の負担を大きく減らせる小規模宅地等の特例が使えるかにもかかわります。


 なお、兄弟姉妹がいる場合は、忙しい兄弟姉妹に代わり、良かれと思って特定の子どもが1人で話を進めると、後でトラブルになりかねません。兄弟姉妹で共通の認識を持ちながら、家族全体での話し合いに発展させることをおすすめします。

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