7.死因贈与

●死因贈与は双方の合意が必要です。

●財産を渡す代わりに、一定の義務を課すこともできます。

死因贈与とは

死後に財産を渡す手段として、相続や遺贈の他に、死因贈与という方法があります。

これは、「私が死んだら、息子に1,000万円を贈与する」というように、生きているうちに贈与者の死亡を条件とした贈与契約を結ぶ方法です。

遺贈が財産を渡す側の一方的な意思表示であるのに対して、死因贈与は財産を渡す側とそれをもらう側双方の合意が必要です。


死因贈与は、遺贈や生前贈与と同様に、誰に対しても行うことができます。

双方の合意が必要という点ではあくまでも「贈与」ですが、財産を残す人が亡くなった時点で渡すので、相続税がかかります。


死因贈与のメリットは、渡す側にとっては、財産を渡したい人に確実に渡すことができます。

そして、もらう側にとっても、事前に何をもらえるのかがわかります。


デメリットは、相続人に不動産を渡す場合、税金面で不利になる点です。

遺贈の場合、第三者への遺贈と相続人の遺贈では、登録免許税と不動産取得税の税率に差があるため、相続人への遺贈は、優遇されています。

一方、死因贈与は、誰に対する贈与でも同じ税率です。

負担付死因贈与の効力

例えば、財産をあげる代わりに、自分が死んだら「ペットの世話をしてほしい」、「妻の介護をしてほしい」、「妻に生活費として毎月10万円ずつ渡してほしい」という場合、①負担付遺贈、または②負担付死因贈与という2つの方法があります。

 

①の負担付遺贈では、あげる人からの一方的な意思表示なので、もらう人はその内容を拒否する可能性も考えられます。

一方、②の負担付死因贈与の場合、生前に両者の合意のもとに契約しているので、履行される可能性は遺贈より高いといえます。

 

死因贈与の場合、遺言は必要ありませんが、双方に合意があったことを証明しなければなりません。

口約束だけでなく、契約書を交わし、確定日付印を押してもらう、または公正証書にするなどしておくことをおすすめします。

 

また、被相続人の死後に、贈与された側が約束した負担を行わなかった場合や、その不履行を他の相続人が訴えたりする場合にも、契約が交わされたことを証明するための契約書が必要になります。

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