3.法定相続人

●被相続人の配偶者と子どもは、常に相続人になります。

●子どもや孫が死亡している場合は、孫が代襲相続する。

●子や孫がいない場合は、親→兄弟姉妹の順で相続人の権利が移ります。

相続できる範囲

被相続人の財産を誰が引き継ぐかは、遺言があるかどうかで変わってきます。遺言があれば、原則として、その内容に従って財産を分けることになります。


遺言が無い場合は、法律に定められたルールによって相続人が決まります。法律上、被相続人の財産を相続できる権利がある人を法定相続人といいます。


相続人になれる人は、一定の範囲の親族のみです。具体的には、次の人たちになります。


①配偶者

②子供などの直系卑属

③親などの直系尊属

④兄弟姉妹(場合によってはおいやめい)


①を配偶者相続人、②~④を血族相続人といいます。また、卑俗とは被相続人の子どもや孫や下の世代のこと、尊属とは、親や祖父母など上の世代のことをいいます。被相続人のおじやおば、いとこは、相続人になることができません(遺言によって財産を渡すことは可能)。

相続人の優先順位

前述の①~④の人たちが、法定相続人の範囲ですが、すべての人が相続人になるわけではありません。配偶者相続人、すなわち夫または妻は常に相続人になります。しかし、血族相続人には、順位があります。つまり、最上位の者だけが相続人になります。


血族相続人の順位は、次のとおりです。

●第1順位…子ども

●第2順位…直系尊属

●第3順位…兄弟姉妹


つまり、被相続人に子どもがいる場合には、配偶者と子どもだけが相続人になります。子どもがいない場合には、第2順位の親などに相続の権利が移ります。親などもいないときにはじめて、第3順位の兄弟姉妹に相続の権利が移ることになります。

胎児・養子・非嫡出子について

妻が妊娠中に夫が亡くなってしまうなど、子どもが胎児のときに相続が発生するケースもあります。その後、死産に至らなければ、その子どもは相続人になります。


養子については、実施同様の相続権があります。ただし、用紙の人数が多い場合、相続税の計算上では一部の養子を法定相続人の「数」に含めないことになっています。これは、用紙を増やすことで課税を逃れようとするケースが横行したためです。これはあくまでも、相続税の計算上のお話です。養子が何人にいても、子供として被相続人の財産を相続できます。


また、婚姻関係のない相手との間にできた子ども(非嫡出子)については、認知した子どもであれば、婚姻に関係なく相続できます。認知は、被相続人が生前行っている場合はもちろん、遺言による認知でも構いません。

孫について

相続による財産移転は、親から子へ、子から孫へと直系の親族によって代々受け継がれていくのが基本です。しかし、不幸にして親よりも先に子供が亡くなっているケースもあります。


この場合、その亡くなった子どもに子どもがいる場合、つまり被相続人にとっての孫がいる場合には、その孫が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。代わりに相続する人を代襲相続人といいます。


代襲相続は、子どもと兄弟姉妹のみに認められています。ただし、子どもの代襲相続は、孫もいなければひ孫というように、直系卑属がいる限り続きます。しかし、兄弟姉妹の代襲は、兄弟姉妹の子ども(おい・めい)の1代限りです。


なお、第3順位までたどっても相続人がいなくて、遺言も残さなかった場合は、財産は国庫に移されます。

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