8.遺留分

●遺留分とは、遺言があっても、相続人が最低限相続できる相続分のことをいいます。

●遺留分は、遺留分減殺請求権を行使してはじめて取り戻せます。

遺留分とは

財産は、遺言があれば遺言通りに分けるのが原則です。

しかし、たとえ遺言が残されていたとしても、100%故人の思い通りになるわけではありません。


例えば、「愛人に全財産を譲る」、「長男だけに全財産を譲る」というような極端な内容の遺言は、他の相続人は理不尽だと感じることでしょう。

残された家族が、生活に困ることもありえます。


そこで民法は、遺留分という決まりを作りました。

遺留分とは、相続人が最低限相続できる割合のことです。
つまり、「愛人に全財産を譲る」というような遺言があっても、相続人はその愛人から一定の金額を返してもらうことができます。
もちろん、相続人の中の1人が、遺産を独占する遺言でも同様です。

遺留分は、原則相続人全員で遺産の2分の1です。
相続人が父母など直系尊属だけの場合、相続人全員で3分の1です。
ただし、第3順位の相続人(兄弟姉妹やその甥・姪)には遺留分は認められていません。


なお、相続財産だけでなく、生前に贈与された財産も一部遺留分の対象になります。

遺留分減殺請求権

相続人の実際の相続分が、遺留分に満たない状態を遺留分の侵害といいます。
最低限もらえる遺留分を取り戻す権利を遺留分減殺請求権といいます。


この権利を使いたい場合は、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内に行使しなければなりません。
遺留分を侵害されていることを知らなかった場合でも、相続開始のときから10年を経過すると、遺留分減殺請求権を行使できなくなります。


遺留分減殺請求権の行使のやり方ですが、侵害されている側が一方的に意思表示をすればよいことになっています。
法的には、口頭でも構いません。
しかし、後にきちんと証明できるようにするために、配達証明付き内容証明郵便で通知することをおすすめします。
相手が応じない場合は、家庭裁判所の調停などを利用して解決を図ることになります。


なお、遺留分が侵害されていても、「それでも構わない」のであれば、遺言通りに相続が行われます。
この場合、手続きは全く必要なく、減殺請求をせずにそのままにしておくだけです。

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