5.遺言

●遺言には法的効力があります

●遺言通りに相続しない場合、相続人全員の合意が必要です

遺言で法定相続分と異なる指定が可能

法定相続分よりも優先されるのが、遺言による相続です。

遺言とは、故人の生前における意思を表したものです。

それを書面にしたものが遺言書です。


遺言書に何を書くかはその人の自由です。一定の内容については、法的効力を持ちます。

これを遺言事項といいます。


どのような内容が法的効力を持つかは、民法で具体的に定められています。

法的効力を持つのは、①相続に関すること、②相続以外の財産処分に関すること、③身分に関することなどです。


例えば、①については、法定相続分とは異なる割合の相続分を指定できます。

妻と子どもも1人が相続人の場合、法定相続分は2分の1ずつになります。

しかし、遺言に「妻に3分の2、子に3分の1」と残せば、その割合になります。

また、「自宅は妻に、株式は長男に、現金は長女に」のように、誰に何をあげるかを具体的に指定することができます。


②については、お世話になった知人など相続人以外に財産を渡すことができます。

このように、遺言によって相続人以外に財産を渡す場合を遺贈といいます。


③については、子どもの認知や、未成年後見人の指定などができます。


元々、自分の財産をどのように処分するかは、本人の自由であるはずです。

遺産についても同様です。

遺言によって個人の意思が表明されていれば、その内容を尊重するのが原則です。

法定相続分よりも遺言による相続が優先されるのはそのためです。


しかし、遺言の内容に納得できない場合は、相続人全員の合意があれば、遺産の分け方を変えることもできます。

反対に、1人でも合意しない者がいれば、遺言が優先されます。

また、遺贈がある場合でも、遺言は優先されます。

相続は多数決で決まらないのが特徴です。

遺言の指定方法

相続分を指定する方法は、下記の2つがあります。

①相続人全員の分を指定する方法

②一部の相続人の分だけ指定する方法


②の場合、指定されなかった相続人については、残りの財産を法定相続分を目安に分けることが基本です。

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