3.土地の評価②

●要件を満たせば宅地の評価額は80%減額

●被相続人との同居がポイントです。

●事業用の宅地も要件を満たせば80%減額

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、相続税の課税により、相続人が生活の基礎や事業の基盤を失うことがないよう、自宅の敷地や事業用の敷地については、一定の要件のもと、評価額を減額できる制度です。最大で80%も評価額を下げることができますので、大きな節税に結びつきます。


小規模宅地等の特例対象となる宅地は、被相続人の居住用の宅地の他、事業用の宅地など4種類あります。相続人が居住や事業を続ける場合には、一定の面積まで評価額が80%または50%減額されます。


ただし、自宅兼賃貸マンションなどの場合は、利用状況に応じ面積比で案分して減額割合を計算します。


この特例を利用するには、様々な要件があります。誰が相続するかによって要件が異なりますのでご注意ください。


例えば、特定居住用宅地の場合、配偶者がこの制度を利用するには、細かい要件はありません。配偶者以外の親族の場合は、「相続税の申告期限まで宅地を所有し続ける」などの要件があります。

複数の宅地に適用可

自宅と事業用の宅地がそれぞれあるなど、特例の対象となる宅地が複数ある場合は、限度面積以内なら組み合わせて利用することも可能です。特定居住用宅地と特定事業用宅地の組み合わせなら、上限370㎥までこの制度を利用できます。事業承継がある場合などは、特にメリットが大きいといえます。


また、複数の宅地がある場合には、どの宅地とどの宅地で特例を適用するかによっても節税効果が変わります。


なお、小規模宅地等の特例を利用するには、相続税の申告が必要です。特例を利用した結果、納める相続税がなくても申告は必要です。申告を忘れますと特例が利用できない場合がありますのでご注意ください。

小規模宅地等の特例と適用条件

小規模宅地等の特例は4つあります。その適用条件は「宅地」と「人」にそれぞれあります。


 特定居住用宅地等

  AまたはBに該当すれば330㎥まで80%減額

   A)宅地 被相続人が住んでいた自宅の敷地

     人  ①~③のいずれか

        ①配偶者が取得

        ②被相続人と同居していた親族がそのまま申告期限まで居住し、かつ 

         その宅地を所有

        ③相続開始前3年間自分または自分の配偶者の持ち家に住んだことが 

         なく、その宅地を申告期限まで所有(①②にあてはまる人がいない

         場合のみ適用)


   B)宅地 被相続人と生計を一にする親族の自宅の宅地

     人  ①~②のいずれか

        ①配偶者が取得

        ②生計を一にしていた親族が引き続き申告期限まで居住し、かつその

         宅地を所有


 特定事業用宅地等

  AまたはBに該当すれば400㎥まで80%減額

   A)宅地 被相続人の事業に用いていた宅地

     人   相続人が事業を引き継いで申告期限前営業し、その宅地を所有


   B)宅地 被相続人と生計を一にする親族の事業に用いていた宅地

     人   その親族が事業を相続開始前から申告期限まで引き続き営業し、その  

         宅地を所有


 特定同族会社業用宅地等

  以下の2つの要件を満たせば400㎥まで80%減額

      宅地 被相続人およびその親族などが50%超の株式または出資を持つ会社

         の事業に用いていた宅地

     人   取得した親族が申告期限時にその会社の役員にあり、申告期限まで引

         き続きその宅地を所有し、事業に使用


 貸付事業用宅地等

  以下の2つの要件を満たせば200㎥まで50%減額

      宅地 被相続人はまた生計を一にする親族の不動産貸付業、駐車場業、駐輪

         場業(事業と称するに至らないものまで含む)に用いていた土地

     人   取得した親族がその事業を引き継いで(または引き続き)申告期限ま

         で営業し、その宅地を所有

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