4.土地の評価③

農地の評価方法

農地は、農地法などによって宅地の転用が制限されており、原則として都道府県知事の許可がないと転用や譲渡ができません。許可が下りたとしても宅地造成費などの費用がかかります。こういった事情によって、一般的に農地は宅地と比べて評価額が低くなります。


相続税の財産評価では、農地を下記の4種類に区分します。

①純農地

 農用地区域にある農地で、農業政策上の規制が厳しい農地


②中間農地

 都市近郊にある農地で、純農地よりは規制が少ない農地


③市街地周辺農地

 市街地周辺にある農地


④市街地農地

 市街化域内にある農地


これらのうち①の純農地は最も転用許可が下りにくく、以下②→③→④の順で転用許可が下りやすくなります。転用が難しい農地ほど評価額が低くなるように区分されています。


①の純農地と②の中間農地は、倍率方式で評価します。農地の固定資産税評価額に、評価倍率表にある一定の倍率をかけて評価します。固定資産税評価額は市区町村長役場または都税事務所で、評価倍率表は所轄の税務署または国税庁のホームページで確認できます。


③の市街地周辺農地は、その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%相当額で評価します。


④の市街地農地は、宅地比準方式または倍率方式を用います。宅地比準方式とは、「その農地が宅地であるとした場合の1㎥あたりの価額」から、その農地を宅地に転用した場合に必要となる宅地造成費相当額を控除した金額で評価する方法です。


「宅地であるとした場合の価額」は、その農地が路線価地域にあるときは路線価方式で、路線価のない地域の場合は倍率方式で評価します。倍率方式の場合は、その農地最も近く似ている宅地の固定資産税評価額に宅地の倍率をかけて評価額を計算します。

山林の評価方法

山林も農地と評価方法はほぼ同様です。山林の場合、①純山林、②中間山林、③市街地山林の3種類に区分します。①の純山林と②の中間山林は倍率方式、③の市街地山林は宅地比準方式か倍率方式で評価します。


ただし、市街地山林でも宅地への転用が見込めない場合は、近隣の純山林の価額に比準して評価します。

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