5.相続人の確定①
●遺産分割協議を始める前に相続人を確定させます。
●法定相続人は被相続人の戸籍をさかのぼって調査します。
●被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は、名義変更などにも使用します。
戸籍調査
相続人全員で行う遺産分割協議に入る前に、相続する権利がある人を確認しなければなりません。
そのために必要なのが、戸籍調査です。
戸籍を調べてみると、実は認知していた子どもがいたり、家族に内緒でおいやめいと養子縁組をしていたりという可能性もあります。
徂徠の事実を知らないまま遺産分割協議を終えても、その協議内容は無効となってしまいます。
戸籍を調査するには、被相続人の「死亡から出生まで連続した戸籍謄本類」を入手する必要があります。
戸籍謄本類とは、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本の3つです。
戸籍とは
戸籍には、その人の出生や婚姻関係、親族関係などの重要事項が記載されています。夫婦と未婚の子どもを単位にまとめられており、市区町村単位で管理されています。
子どもが生まれると、その子どもは親の戸籍に入ります。
結婚すると、その戸籍を抜け(除籍)、別の戸籍に移ります。
戸籍内の人が死亡したときでも除籍扱いになります。
こうして戸籍内の全員が除籍したり、あるいは他の市区町村に本籍地を移動したりすると(転籍)、その戸籍自体が「除籍」という呼び名に変わります。
この除籍の写しを除籍謄本といいます。
また、法改正により戸籍は何度も作り替えられています(改製)。
改正前の戸籍を改正原戸籍といいます。
その写しを改製原戸籍謄本といいます。
近年では1994年、その前は1957年に、戸籍の改正が行われています。
さらに、戸籍が作り替えられるとき、すでに除籍されている人については、新しい戸籍に転記されません。
つまり、新しい戸籍を見ただけでは、その人に子どもがいるかどうか、以前にも婚姻歴があるかどうかなどが判断できません。
そのため、被相続人の死亡時から出生時まで、順次さかのぼって戸籍を調べていく必要があります。
死亡から出生までの追跡
戸籍調査は、被相続人の本籍地で戸籍謄本を請求することから始めます。
そして、そこに記載された情報をもとに、ひとつ前の戸籍謄本を入手します。
本籍地の市区町村が変わっていれば、請求先も変わります。
これを地道に繰り返し、出生したときの戸籍までさかのぼり、最終的には、被相続人の親の代の戸籍までたどることになります。
戸籍謄本は郵送でも取り寄せることができます。
なお、各地方自治体で戸籍のコンピュータ化が進められています。
コンピュータ化された戸籍謄本は、従来の縦書きから横書きになりました。
戸籍謄本は戸籍全部事項証明書、除籍謄本は除籍全部事項証明書と名称も変わっています。
多少の表現の違いはありますが、記載内容は、従来の戸籍(除籍)謄本と同じです。
改製原戸籍謄本はそのままです。
戸籍調査は、慣れていないと難しい面もありますため、行政書士などの専門家に頼む方法もあります。
自分で請求する場合は、役所の担当者に「相続手続きで○○(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が欲しい」旨を伝えれば、次に取り寄せるべき戸籍の種類や、請求先などを教えてくれるはずです。