6.相続人の確定②
●親も相続人である場合は未成年者の相続人にはなれません。
●判断能力に問題がある場合は成年後見制度を利用します。
●行方不明者の場合は不在者財産管理人を選任します。
未成年者が相続人の場合
未成年の相続人は、遺産分割協議に参加できません。
その場合、原則として法定代理人である親が、代わりに遺産分割協議に参加します。
しかし、その相続で親も相続人となる場合は、子どもの代理はできません。
場合によっては、親が自分の都合のいいように遺産分割をしてしまう可能性もあり得るからです。
このような場合は、家庭裁判所に申立てをして、特別代理人を選任します。
この特別代理人が、遺産分割協議に参加します。
特別代理人は、未成年者ごとに立てる必要があります。
その未成年者に同じく未成年の兄弟姉妹がいれば、親が相続人でない場合でも、1人の子どもの代理人しかなれません。
残りの兄弟姉妹には、別の特別代理人を立てることになります。
認知症が相続人の場合
判断能力に欠ける認知症の相続人がいる状態で遺産分割協議を行った場合、その遺産分割協議は無効になる可能性があります。
有効な遺産分割協議を行うためには、相続人は意思能力(判断能力)と、行為能力(自分1人で法律行為をなしえる能力)を有していなければならないとされているからです。
相続人が認知症などで判断能力を欠く場合は、家庭裁判所が選任した成年後見人が、その相続人の代理人として遺産分割協議に参加します。
このように、精神上の障害(認知症や知的障害など)により判断能力が不十分な人が不利益を被らないように、代理人が生活と財産を保護する制度を成年後見制度といいます。
相続人の所在がわからない場合
遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。
そのため、行方不明者がいると、遺産分割協議が滞ってしまいます。
戸籍や住民票などで調査を尽くしても行方がわからないときは、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらいます。
その人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産分割を進める方法があります。
通常、不在者財産管理人には、申立人が推薦する利害関係のない被相続人の親族などがなります。
適当な人がいなければ、家庭裁判所が弁護士などの専門家を選任します。